あの子こんなに大きく立派になっていた

2022/05/07

熊本県の産婦人科病院に、

通称「赤ちゃんポスト」が誕生したのは、

15年前の5月、こどもの日がある季節のことだった。

いろんな意見、賛否両論あったようだが

私は、すごいーーー!と思った。

 

人知れず葬られてしまう赤ちゃんが、確実に減る。

生まれて、生きていけるって、すごいこと。

 

そんな中で、一人、気になる男の子がいた。

この「こうのとりのゆりかご」には、通常は

生まれて間もない赤ちゃんが預けられるが

きょとん、とした表情で座っていた

と報じられた幼児がいた。

 

あの子は、きっと心に深い傷を受けて

その後、どう過ごしているのだろう。

笑顔は見られるのだろうか。

二度と報じられることはないだろうが

どこかで、静かに、幸せにいてほしい

と願うだけだった。

 

ところが!

名前も、所在も、顔も出して

テレビに出ていた。

 

立派な体格の、高校3年生。

育ててもらった家で、養子縁組していて

とっても明るい。

 

こども食堂を主宰するほど、子ども思いで

スポーツ万能、勉強もできるのだろう。

第一志望の大学に合格して

子どもに関わる専門職を目指すようだ。

 

何で幼児になってから「ポスト」へ・・・

不思議でならなかったが

お母さんも事故で亡くなっていて

本当に身よりのない子だったようだ。

 

産んでくれたお母さん

育ててくれていた身内の人?他人??

安全なところへ託してくれた人

わが子同然に育てて、わが子にしてくれた人

どの人も偉いと思う。

 

生まれて、生きてこれて、よかった

大きくなって

夢が描けて

夢が叶えられるところまで漕ぎつけて

本当によかった。

 

子どもを授かったら

自分の手で育てるに越したことはないが

どうしても難しいときに

その命を諦めなくていい道があること

有り難いなあ、と思う。