ずっと先を見据えて力を貸してくれる人

2022/08/08

「坂下さんには、あゆみちゃんがついているから」

と言ってくれた友人は、

私の歩く道には、あゆみがいつもいるのを感じる

と言うのだ。

 

だったら嬉しいが、私自身は

そう思えるときと、思えないときがあり

本当にいてくれるのかなあ?

と言ったら、

もう20年以上前のことを、彼女は振り返った。

 

亡くなって、しばらくして、病院を訪ねたとき

病気や治療の説明を聞くことが主目的だったが

もう1つ、医師に言いたいことがあった。

 

子どもの治療中は、家族も相談に乗ってもらえるが

亡くなったら、家族は病院と縁が切れてしまい

家に、ぽつん。

病院に、子どもを亡くした家族のケアはないですか?

と尋ねたら

「あいにく、ないです」と言われた。

 

じゃあ、お子さんを亡くした親御さんを

1人、紹介してもらえませんか。

その方に会いたいです。と頼んだが

「申し訳ありません。それはできないです」

と断られた。

 

このときのことを、

彼女はよく覚えていて、こう言った。

「あの時も、あゆみちゃんの意思が働いていたと思う」

 

えっ?どういうこと?

もし、あの場をあゆみが見ていたとしたら

先生が「そうですね、何とかしましょう」

と言う気になるように、力が働いたのでは?

 

えっ!じゃあ!

先生が断ることに、

あゆみは介在していたということ??

 

彼女は、黙ってうなづいた。

 

あーーー

私は、もう声が漏れるだけだった。

 

私たちは、つい、その場のことだけで考えてしまう。

助けてもらった、助けてもらえない、

いる、いない、等

 

ずっと先を見据えて

あゆみは、あのように後押ししてくれたのか

と今なら思える。

 

先生が、誰も紹介してくれないから

私は「小さないのち」を創った。

だから多くの親御さんと出会えた。

もし1人紹介してくれていたら、きっと

それで気持ちを収めるようにしただろう。

 

この活動が、私を生きさせてくれたし

これからも、ずっと続いていく。

どの出会いも、かけがえがなかった。

 

ずっとあゆみの母でいられることも

かけがえがない。