オセロは白と黒だけではないと思った

2022/08/16

著名な精神科の先生が、いい話をされた。

「人生はオセロ」

この考え方でいくと、

人生の試練や苦悩を、越えていきやすくなる。

 

私は、お話に感銘を受けながら

いつものとおり、子どもの死と重ねていった。

 

オセロの「黒」を象徴する最たる出来事は

最愛の人との死別だろう。

それまで白が並んでいても、この「黒」がくると

大抵その後も黒が続く。

 

それまで楽しかったことも楽しめなくなったり

人間関係も、それまでのようにいかなくなったり

家庭内がぎくしゃくすることだってあり得る。

体調を崩したり、病気を発症したりもする。

 

心から笑えることはないと思う、とか

自分たちだけ幸せになることは考えたくない、と

よく耳にするように

当分の間、「黒」が並んでも仕方がないのだが

ずっとしんどいままでは、つらい。

 

オセロの理論によると

1つ白がくればいい。

死別前にあった白と、新たに置いた白が

間にある黒を、ぜんぶひっくり返して白にしてくれる。

 

通常、ここで実感するのは

苦労があったから、今の幸せが身に染みる、とか

これまでの忍耐は無駄ではなかった、ということ。

 

では、子どもの死についても、

親はそのように思うだろうか?

おそらく、1つめの黒は、ひっくり返さず

そのままにしておきたいんじゃないかな。

 

子どもの死は、なかったことにならないし

そのつらさ、淋しさ、やりきれなさは

白に替えなくてもいい。

 

真っ黒でなければならないものでもなく

ひっくり返さずに、少しずつ色を変えて

そのまま置いておけるように、

それほど苦痛なく持ち続けられるように

していくほうが、ほとんどの親の

しょう分にあっている気がする。