バス停じゃなく家まで「バス」は来た

2024/02/06

子どもが乗って行った「バス」のこと

あゆみの時は、少し状況が違った。

 

闘病していたなら

バス停で、

「元気になるバス」を待ち続けたが

闘病していなかったので

家の中で普通に過ごしていた。

 

それなのに

家の前に、突然「バス」は来た。

バス通りでもないのに

あの日だけ

「元気になれないバス」が家に来て

乗せて行ってしまった。あゆみだけ。

 

私は、必死で、連れていかないでーと

走り去るバスに、しがみついたりしたが

振り払うように

連れて行ってしまった。

 

それから私は、

このまま、ここで待っていたら

「バス」は、また戻ってくるんじゃないか、と

家の前に立ち続けたが

1年待っても、2年待っても、バスは来ず

私だけ家の中に入るのが辛すぎて

家を売ってしまった。

 

あんなにつらい思いをした家なのに

やっぱり恋しくなって

2度見に行った。

 

もしかして、あゆみは戻ってきていて

家の前に立っていたりして

などという気持ちも、

そのとき、あったように思え

今回また新たに回想した。