遺族はつらい弱い立場だからと考え

2022/01/28

ずいぶん前のことだけれど

ある国立大学医学部付属病院の小児科に

そこの先生に招かれて、グリーフケアの講演に行った。

そこの先生に招かれて行っていたことが、1つの安心感で

子どもを亡くした家族の様子や

家族の悩みやニーズなどを、いろいろと話した。

 

結論として

亡くなってからも、看取った病院でしか

得られない情報があるので、家族の疑問に

答えてくれることが大きなグリーフケアになる

といった話をした。

 

つまり、家族が、時間を設けてほしいとか

会って話が聴きたいと言ってきた場合

歓迎してくれ、好意的に接してくれたら

話の内容だけでなく、その行為じたいが

心のケアになると思う、という話を。

 

おそらく、多くの先生方は、

そうなんだね、と思ってくれたと思う。

全ての先生が、そう思わないだろうことも理解できる。

ただ、1人の先生が言った言葉は

私には衝撃的で、とても悲しかった。

 

「簡単に言われますが、刺されたらどうするんですか?」

 

子どもを亡くした人が、相当な辛さを抱えたとして

病院を訪ねて行き

医師を刺すだろうか?

関わりのなかで、不満を募らせていたとして

感情が乱れるようなことも、あるかもしれないが

刺すとか、襲うようなこと、

考えられないし

それまでも、それ以後も、経験はないまま来ていて

「あの先生は、病んでたのかなあ」

と思ったり、よくわからないままだった。

 

そして

遺族は、つらい、弱い立場の人だから

温かい目、長い目で見てほしい

という思いは、ずっと変わらずある。

 

ところが、きょう

遺族宅を訪問した医師が

遺族に撃たれて亡くなった、というニュースを知り

言葉を失った。

 

何てことを

何で!

 

死後に、家を訪ねて来てくれるって

生前は、どんな関わりがあった医師か

想像に難くない。

 

遺族は、つらい立場の人で

とりわけ医療の枠組みでは、弱い立場の人

と感じてきた私さえ、脅威を感じた。