あのつらいことはわが子と一緒に経験したこと

2022/11/08

あゆみのことは、どんなに辛くても

どの場面のどの瞬間のことも

記憶から消さないでおこう、と思ったのには、

理由がある。

 

小さかったから、記憶を取捨選択してしまうと

わずかになってしまうから

というのも、理由の1つではあるが、

もっと大きな理由があることに

あとで気づいた。

 

あゆみは闘病がないに等しかった、とはいえ

病気になって、過酷だった時のことは、

当初は、

振り返ることができないものだった。

 

向き合えない一方で、

自分を強く責めていた。

ここに、2つの苦しみが発生し、

まるで拮抗しているかのようだった。

 

でも、考えたら、あのつらいことは

ほかでもない

あゆみに起きたことで

あゆみと一緒に経験したこと

一緒に立ち向かったもの、と考えたい

二人三脚だったと思いたいのに、

2人の足を結んでいた紐を、私が解いてしまい

別々になったみたいな気がした。

 

楽になりたい、とか

逃げたい、とか

考えているつもり、なかったのに。

 

姿はなくても

2人を繋ぐ紐を、ちゃんと結び直して

これからも一緒に行けたら。

 

そんな風に、考えるに至り

どの記憶もかき集め

自分の手の中に持つようにした。

 

意思をもって向き合ったとき

かつての苦しさが、

少しだけ和らいでいた。