叱るどころか泣いてくれたお母さん

2024/06/23

これまで北朝鮮の拉致被害者のことでは

私は、特に子どもをさらわれた親御さんに

胸を痛めてきたが、

先日見た報道番組を通して

お母さんが拉致されたままの娘さんにも

胸がつまった。

 

曽我ひとみさんは、お母さんと共に拉致され、

ひとみさんは帰国を果たしたが、お母さんの消息は

依然わからない、ということ

多くの人が知っていると思う。

 

ひとみさんの家は、裕福ではなく

お母さんは、農業と工場での仕事と内職をこなして

体に油の臭いが沁みつくほど、働きづめだった。

小学校5~6年だったひとみさんは、

同級生が着ていた新しい服を見て、羨ましくなり

勝手にお母さんのお金を持ち出し、自分も買った。

 

「このときばかりは」という表現から

ひどく叱られたのかと思いきや、お母さんは

ひとみさんに、謝ったという。

 

「ひとみが1人で買ってきたんだねえ

お母さんが買いに行ってあげられなくて

ごめんね」

と言って、お母さんは泣き、

お母さんの姿にひとみさんも泣いた。

 

貧しくても、何と豊かで、愛情の深い・・・

こんな親子を引き裂くなんて。

 

このとき買ったセーターは、

もう50年以上前のものだが

いまも手元に置かれている。

 

この番組は

「横田めぐみさんは生きている」と

曽我さんが証言することが主旨だったが、

見ながら思ったのは、

めぐみさんは、もちろん早く帰ってきてほしい。

ひとみさんのお母さんも

高齢だけれど、何とか、生きて再会してほしい

と強く願った。