「天国でお嫁さんに」
2004/11/08 新潟県中越地震のため土砂の中に埋もれたままになっていた3歳の真優ちゃんが、15日ぶりに搬出されたことを報じる記事が新聞に載りました。すぐ目についたのは、カラー写真のなかの色鮮やかなブーケでした。
とても痛ましく悲しいことですが、私はこの記事に、子どもを亡くした遺族として慰められました。
≪搬出作業にあたった新潟県警機動隊員は、土砂を手で丁寧に掘り出し、ようやく車外に出した真優ちゃんの顔に付いた泥をぬぐった。隊員たちは、遺体に手を合わせ、真優ちゃんの冥福を祈った。現場には、お菓子やジュースのほか花嫁が持つブーケも供えられた。機動隊員が花を買いに訪れた長岡市内の花店から、「天国でお嫁さんになれるように」と託されたものだ。≫読売新聞から
いま、子どもを病気で亡くした家族の心情調査をまとめています。厚生労働省から出されるガイドラインの一部になるものです。
ここで共通して見られるのは、死別の際に関った人たち(救急隊員、医療者、宗教者、葬儀業者など)が、我が子のために取り組んでくれた姿勢や家族のために傾けてくれた心が、"遺族ケア"となっていることです。
とくに、[わざわざ]してくれたこと、[思わず]してくれたことなど、心が動いて行動につながっていることが、深く記憶に刻まれているのを感じます。
機動隊員の「手」の優しさ、お嫁さんのためのブーケ…。
あゆみが生まれたとき、私が思い描いたのは、この子も抱けるし、この子の赤ちゃんもまた抱けるという幸せでした。1歳にも満たない女の子にさえ母親は、お嫁に出した先までも夢見るものです。
あゆみが亡くなったとき、色とりどりのお花畑のなかに寝かしてやりたいというのが私の最後の希望でした。その後、供花には菊の花もわずかに届きましたが、多くの方は菊を贈られる私の心情を察してくれていることに気持は救われました。
真優ちゃんは暗い所に長い間閉じ込められて、どんなにこわかったことでしょう。
真優ちゃんも天国のあゆみたちと出会ってほしいなと思います。