なかなかできない親孝行

2008/10/15

きょうはずっと家の中にひそんでいたが、夕方、郵便局に行くため
足音を忍ばせて階段を降り、そーっと玄関のドアを開けると
ぎょっ。父は庭の木に長いハシゴをかけて登っていた。そして目が合った。
私は急いでる〜 という素振りで出かけて行き、
戻ってきたら、まだハシゴの上だった…

父は、几帳面な昔人間で、私にお説教するのが大すき(らしい)。
だから私は父とのニアミスを避ける努力をし続けている。
ところが何も言われなければ何だか気がとがめ、庭の掃除をすることにした。
黙々と掃除した。お説教が始まる隙のないように。
次は外溝の掃除だというので、スコップで溝に溜まった土をゴミ袋に入れていると、
土は捨てないで花壇に戻すのだと言われ、はっとした。
そうだった。この流れ出た土は、もともと家にあったものではなく、買ってきたものだった。
土を買ってでも、自然の暮らしに近い環境にもっていこうと、父がしているのだった。

ふと見上げると、隣に引っ越してきた男の子がじっと見ていた。確か5才。
きょうちゃんだよね?と尋ねると、
「となりのおじちゃんのともだち」と教えてくれた。
となりのおじちゃん?それってダンナ?いやいやそんなわけがない。
もしかして、そうなのかぁー この子と父は友だちなんだぁー
不思議に思えたのは、この子が父と友だち付き合いができることより
父がこの子と、のほうがミスマッチなのだ。

二世帯住宅の上と下に暮らしていながら、最近の父のことは、ぜんぜん知らない。
庭の掃除どころか、花壇に花が咲いていても気づかない暮らしをしてしまったけれど、
私がほうぼうで記念などにいただいて持ち帰った鉢植えを、
何年もお世話して毎年咲かせてくれている。ということも最近まで知らなかった。

感謝してるのに、どうしても、やっぱり、私は階段で足音を忍ばせてしまう…