奇跡を信じて頑張る人
2015/04/07 前東京都知事の猪瀬直樹さん
奥さまを亡くされていたことを、知らなかった。
「お・も・て・な・し」などで沸いた、あの五輪招致活動の
さなかのことだったらしい。
仲の良い夫婦だと感じていた。
美しい奥さまは、ファッション業界の人だろうか、と思っていたら
ぜんぜん違っていた。
作家として食べることが、長い間できなかった猪瀬さんのために
小学校の先生をして、執筆と生活を支えてきた人だと知った。
病気がわかったときには、すでに症状が進んだ脳腫瘍で
手術のあと昏睡に陥ったらしい。
愛しい妻の命が消えるかもしれない、そんな大変なとき、
なぜあんなに頑張れたのだろう。
日本を離れることさえ辛いだろうに、
力が全身にみなぎっているかのように映った。
その謎は解けた。
オリンピックを東京で開くという大きな願いがかなったら
そのとき
彼女にも奇跡が起きるかもしれない
そう信じたのだった。
すごく、わかる。
何かを全力で、特に、他人の役に立つような、
人に喜ばれるようなことのために、一生懸命、無心に頑張ったら、
1つだけ自分の願いも
叶えてもらえるかもしれない!
その一心で、ほんとうによく頑張った人を、私は何人も知っているから。
不適切な資金提供で辞職したことは、大きく報じられたが
あのときの表情には
ほんの少し前に直面した愛妻との無念な別れも
たちこめていたのだなあと
今になって思う。