突き刺さったままになるから

2019/09/14

看護師さんの、グリーフケアの授業の最後に

ひと言ずつコメントをいただいたとき

「とにかく傷つけない」と言ってくれた人がいた。

素晴らしいと思った。どんな「ケアをする」か以上に。

 

本当にそう思う。

ケアに優れているが、たまに傷つけるようなことも言う人より

決して傷つけるようなことはしない人がいい。ずっと安全。

 

突き刺さる、という言い方があるが

突き刺さったままになることを言っているのだと思う。

それは体と同じ。

もしナイフで刺されたら、抜いてはいけないと聞く。

刺さっている物で止めているかたちになっているから。

抜くと、傷口から大変なことになるから。

 

心だって、刺さったものを、抜くと大変なことに。

どんどん溢れ出て、

再び痛い痛い思いをして。

だから刺さったままにしておくしかないような心の傷は

ただただ、そのまま抱えて生きていくのだと思う。

 

だから、傷つけることだけはしない、という認識が

ケア以前に、ケア以上に大事であり

人として自覚してほしいと思っていて

そのことを、ちゃんとわかってくれている人と出会えるとき

すごく嬉しい。

医療職だったら、なおさら嬉しい。