優しくなれなかった理由

2020/02/18

親の介護の、続き

 

優しくなりたくても、なれなかった理由は、

一番に、蓄積する疲労、かと思っていたが、

違うような気がする。

 

どこまでも、受け止めきれなかった、からのように思う。

変わっていく母を。

しっかりしてほしい、思い出してほしい、と

つい考えてしまい、よく泣けてきていた。

 

そして、父だ。

介護の共同体であるはずの父と、常に対立していた。

できるはずだ、という期待が強い父に

「無理を言わないで」と割って入る。

しっかりせい!とか大声で言ったりする父に

「いい加減にして!」と立ち向かわなければならない。

 

ところが、

こんな、ぐだぐだな毎日、これって、母のせい

という思考が働くようになり

すっかり負のスパイラルに呑みこまれていった。

 

先が見えない。

終わりはないように思える。

逃げられない。

 

昼間にヘルパーさんが来てくれても

社会資源を活用しても、

家族にのしかかる役割は、かなり大きかった。

 

けれども、ないと思っていた「終わり」は

意外にも早く訪れ、

こんなにもはかないのか、と後悔をし、

もっと優しくできればよかった、と

つよく自責したのだった。