良いか良くないかは本人が決めること

2023/04/26

月に1回だけ行くお稽古に行った。

とても久しぶりにお会いした受講者さんと

少しお話ししたところで、

あれれ?

 

「声、変わりました?」と言ったら、

声帯の手術をしたとのこと。

私、思わず「いい声に!」

と言ってしまった。

そしたら、

がっかりされた。

 

え、なんで・・・

その方の以前の声は、

かすれて、がらがらして、よく聞こえなかった。

ところが、ご本人にとっては、

元の声でなくなったことを

「自分の声がなくなった」と仰る。

 

元の声が良かったんですか?

と尋ねたら、うなづかれた。

あー、そうだったのか。

内心、わからないものだ、と思った。

 

そしたら「声の仕事してたから」

と教えてもらった。

声の仕事をしていたから、

ポリープができたり、声帯を痛めたらしい。

 

その仕事とは、

デパートのアナウンス。

へー、美声だったんだ。

 

ついでに教えてもらった。

デパートのアナウンスって、独特な口調だけど

あれは、わざとしているのか?

 

あれは、すごく気をつけて言っているらしい。

上がり、下がり、伸ばすところ、区切るところ

きっちり決まっていて、

開店の「ありがとうございます」と

閉店の「ありがとうございます」は、言い方が違い、

だいたいの語尾はソフトに上げ、

閉店のときだけソフトに下げる。

 

プロのなせる業を聴きながら

ご自身の声が大好きだったんだ

と、よくわかり、

その声を手放す淋しさが、理解できた。

 

人の大事な一部を、勝手に、

「良くなった」だとか、どうこう、

言ってはいけない。