天寿ではなく「天命をまっとう」

2023/12/05

高校生の女の子が、自死したあと

校長が全校集会で「天寿を全うした」

と言ったことに、両親があぜんとした

という記事を見て、思った。

 

あゆみのように小さい子でも、

亡くなったあと、こんな風に言われることがある。

人には、それぞれ寿命があって

短い子は、生まれながらに魂が高いから

この世での苦行が短くて済む

といった説により、

それぞれに「まっとう」したのだと。

 

そういう説に納得するか、どうかは別にして

短命であることを、

悪いこととしない考え方は

おそらく自死においても共通なのではないだろうか。

 

けれども、

収まりどころが良くないなりに

どうにか収めようとしているところへ、

「天寿を全うする」の意味を引いたら

ぐらついてしまうではないか。

 

天寿を全うするとは

「病気や事故などで早逝せず

長生きすること」

えーーー死因なんかい。長さなんかい。

 

同じように、

人間の力で変えようのない運命を表す言葉で

「天命」がある。

こちらの意味は、長さを言わず

「天の定めた寿命」となっている。

 

だから何?

と言ってしまえば、それまでだが

少なくとも

死因や長さは、問わないでほしいものだ。