「え、もう29年」と思った瞬間に感じたこと

2024/03/21

オウム真理教が引き起こした

地下鉄サリン事件から29年が過ぎた。

この犯罪によって13人の命が奪われた。

 

地下鉄職員のご主人を亡くされた高橋シズヱさんは

ずっと取材に応じてこられたが、77才になられた。

当時は40代だったのだなあと

しみじみと過ぎた歳月を感じる。

 

風化させないことを、いま考えておられるが

サリン事件やオウム真理教のことを

知らない世代が増えていることに驚く。

そうか、40才でも当時小学生だもの。

 

この事件では、負傷者が6000人もいて

その人たちが抱える後遺症のことは

重篤なかた以外、あまり知られてこなかった。

 

視力の低下や頭痛に苦しむ人が

実は、こんな気持ちで過ごしてきたことは

もっと知られていない。

「生き残った人間に、事件を語る資格はあるのか」。

 

胸が詰まる。

後遺症を「苦しい」と言えば

生きていられるだけいいじゃない

と思われるような気がするのだろうか・・・

 

そういうこと、他人が思わなかったとしても

命を取り留め、生きることができた人は

亡くなった人たちがいる中で

生きていることにさえ罪悪感を感じる。

そういうことが、事件や事故のあと、よく起きる。

 

犯罪被害というのは

亡くなった人の家族にとっても

後遺症を抱えながら生きていく人にとっても

たまらなく辛い。

 

報道を通じて時折思い返す私などは

えーもう29年もなるのかー、と思い、

その裏側には

「早いなあ」という感覚があり

1日1日が重く苦しい当事者からは

かけ離れたところに・・・