傷ついたときに手にしていた詩画集

2024/04/30

私が尊敬する星野富弘さんが亡くなられた。

星野さんは、体育教師になったばかりの6月に、

部活の指導中、大怪我をして

手も足も動かない、寝たきりになった。

 

どれほど絶望したことだろう。

そんな星野さんが、口に筆をくわえた。

描かれた絵と、詩が、何とも素晴らしい。

 

どれも好きだが

まず浮かぶのは、この詩。

 

神様が たった一度だけ

この腕を動かして下さるとしたら

 

初めてこの詩を目にしたとき

私はここまで読んで

何したい?! 何しよう!

と、まるで星野さんの手が動くように心が躍り

一気に想像をめぐらせた。

そしたら・・・ 続く言葉は

こんなにも素朴なものだった。

 

母の肩をたたかせてもらおう

 

あーー、たった1回を

お母さんに・・・

このあとも、またいい。

 

風に揺れる ぺんぺん草の

実を見ていたら

そんな日が本当に

来るような気がした

 

ぺんぺん草の絵が添えられている。

そんな日が、本当に来てほしいと思った。

けれども

あれから何十年も経ったけれど

その日は来なかった・・・

 

手や足は動かないまま

星野さんは78年の生涯を全うされた。

私が、つらくてたまらなかったときも

深く傷ついたりしたときも

星野さんの本は、

いつもやさしく寄り添ってくれて

しだいに気持ちを立て直していってくれた。

 

近いうちに、星野富弘美術館に行ってこよう。