つらいことしか染みてこない傷だった頃

2024/05/01

星野富弘さんの本には、たくさん付箋をつけていて

その中の、一番短い詩に

私はものすごく意味を感じた。

 

私は傷を持っている

でも その傷のところから

あなたのやさしさがしみてくる

 

「れんぎょう」という花の絵が添えられたこの詩は、

1976年に描かれたもので

星野さんが寝たきりになってから

おそらく9年しか経っていない。

 

星野さんの詩画集を買っていたのは、母で、

その頃、私は、

へー、大変な目にあった人だなあ

こんなに器用に絵が描けるんだあ

と思って見ているだけだった。

 

ずっと後になって、

あゆみが亡くなり、同じ本を手にしたとき

ぜんぜん入ってきかたが違っていた。

 

私も傷を持った。

でも、この傷からは

つらいことばかり染みてくる。

つらいことしか染みてこず

傷は深くなるばかりだ。

やさしくしてもらったことも、あったのに・・・

やさしさも染み入る傷にしたい。

私、なれるんだろうか・・・

 

あゆみが亡くなってついた傷が痛いのか

あの日から、何もかもがつらいから

ほかのことまで絡めとって痛いのか、

もう、わけがわからなくなっている頃だった。