本当に逃げないために

2018/03/27

つい先日の看護師さんの授業で
とても素敵な方が受講してくださっていた。

最後に、抱負のようなことを一言ずついただいた際
改めて「逃げないでいたい」
と言ってくれた。

  ほかの人の足が遠のいていくような病室から
  会話を避けたいような患者さんから

おっしゃっていること、よくわかる。
看護師さんの足が遠のく病室、会話が難しい相手とは
たとえば
治らない病気で、その受容が難しい人。

そういう人ほど向き合いたい

そう考えてくれている人が、いるだけで
満たされる気がした。

そんな理解ある人だから、
「逃げない」の志を、
もう1段階上にもってもらいたい思いを伝えた。

物理的に逃げない、だけでなく
精神的に、逃げないでほしい。

そばに行く、そばに居る
それでも逃げてしまうことが、実はある。
つまり、そこに居ながらにして。

その多くは、
言葉への逃げ。

前回
「ただ抱きしめてくれた」の良さには
余計なことを言わない
を含むのではないだろうか?と書いた。

寄り添うつもりで、そばにいて
痛恨の思いが語られたとし、
返す言葉を失ったとし
沈黙が続くとき
私は、この沈黙のときが、ものすごく大事だと思う。

ところが、沈黙に耐え切れず、
余計なことを言ってしまうことが、往々にしてよくある。

一番よく出るのが、
天気の話、気温の話。
趣味の話くらいまで飛躍することも、あるかもしれない。

そのようにして場の空気を入れ替えたことを
望む当事者もいるかもしれないが、
「逃げられた」と感じる人もいるだろう。
「ごめんなさいね、暗い話を聞かせてしまって」
と謝る気持ちになる人も、いるだろう。

暗い、重い話から、逃げないでいてくれたら
どんなに当事者は救われることか
と思うことが、よくあるので、
「逃げない」と志す人には、ぜひ
居ながらにして、逃げる、が存在すること
しかも、それは大抵、無自覚に生じてしまう
ということに、気付いてほしい思いを伝えた。

大きくうなずいてもらうことができ
まず私が救われた。