「胸が痛い」は本当に胸がギューー

2021/10/08

悲しむことは大事、と書いたが

悲しみを「痛み」とも言う。

死別の悲しみは、心の痛みと思いがちであるが

お子さんを亡くしたお母さんから聴く話では

「ここが本当に、ぎゅーっと痛いんです」

と胸を押さえて言われることがある。

 

つらい話を聴くと「胸が痛む」とも表現するが

それは、聴いてつらい思いになること。

でもご本人は、胸がぎゅーっとなっている場合があるのだ。

 

心だけでなく、体の痛みにも耐えていることを

どれくらいの人が知っているだろう。

 

私自身、体はどこも痛くならなかった。

 

また、出会ったお母さんの中には

心のつらさに堪えかねて、体にも痛みが欲しいとばかり

壁に頭をゴンゴンぶつけた人や

自分のげんこつで、体をバンバン殴りつけた人もいた。

 

その人たち、頭がおかしくなったりしていない。

お付き合いするなかで、

しごく正常で常識的であることは

いろんな面からわかってくる。

 

子どもを亡くすと

狂わんばかりの状況になる、ということだ。

 

「本当に狂ったら、楽なんでしょうが・・・」

という言葉をもよく聞く。

けれども狂わない。

 

人間の作りが

どれほど強靭であるかが、よくわかる。

強靭とは、強くて、粘りがあること。