初めて家族以外の人を信頼したときの記憶
2026/07/30私が自分のためにしている「ケア」として
スキーをよくあげているが
幼少期の出来事や記憶を思い起こし
立ち返る、ということにも
取り組むようになった。
一番古い記憶は、たぶんこれだと思った。
ワケもわからず親戚の人に
行ったことのない家に連れて行かれて
帰れなくて、泣いて過ごしたこと。
まだ幼稚園に行っていない頃、
祖父が倒れ、祖母が看病することになり
母は学校(仕事)休めないし
私は親戚に預けられたのらしい。
夜ずっと泣いていたが、いつしか眠り、
連れて来た叔母は朝には出勤していて
いたのは、その家のおばあちゃんだけ。
90才くらいだろうか。
腰が折れたように曲がって
顔は魔法使いのように骨ばっていて
黒い服を着ていた。
ひゃー、コワイ。
ところが私はこのおばあちゃんと仲良しになる。
おばあちゃんは商店街に連れて行ってくれて
預けられてしょんぼりの私に、お店の人は
がんばってー、みたいに10円くれた。
次の店でも10円、
その次の店でも10円もらい
お菓子を買っていいのだけれど
私は嬉しくて、握りしめて
何も買わずに帰ってきて
あまりの嬉しさに、家の前で、
手の中を見てしまったらしい。
そしたら10円玉が手のひらから転げ落ち
コロコロ転がって、
ドブ(黒く濁った溝)に落ちてしまった!
えーーー、泣いたと思う。
おばあちゃんは、よしよし、してくれた後
ドブの端に膝をつき、腕をまくったので
私は慌てたと思う。
もういいから!
まだあるから!!
おばあちゃんは、あと20円あるじゃない
じゃなく、1つなくして悲しい私の気持ちを
受け止めてくれて
私の静止をよそに腕をドブに突っ込んだ。
ドロの中から10円玉を見つけ出して
私に見せてくれたときの笑顔。
でも、私がじーっと見つめたのは
泥まみれのおばあちゃんの手。
戻ってきて嬉しい以上に
心から申し訳ない思いを
人に対して抱いた最初の経験だったと思う。
私が落としてしまったから
私が泣いたから
でも、おばあちゃんは「良かった良かった」
と思ってくれていた。
手を洗い、10円玉も洗って
また握らせて貰い
私はおばあちゃんが大好きになった。
何日預けられたのか、分からないけれど
不思議と、迎えに来た親の記憶はなく
このおばあちゃんと過ごした記憶だけが
一番古い記憶になっている。